オリエンタルランド
2035長期経営戦略
詳細分析

持続的成長に向けた事業構造の進化と
最適資本構成の追求による企業価値の向上

2035年に目指す姿

企業理念

「あなたと社会に、もっとハピネスを。」

  • あらゆる人々が共に喜び、笑い、感動できる空間と時間を通じて、明日への活力を生む楽しさを提供する
  • 持続可能な社会作りに貢献する
  • OLCグループブランドの拡大により、従業員が心から誇れる企業であり続ける

財務目標

2029年度

営業CF 0億円

2035年度

売上高 0億円以上

テーマパーク事業

世界中のどこにもない感動と驚きの提供を目指し、多様な取り組みを計画しています。

エリア刷新の大規模開発

テーマパーク用地のダイナミックな再編を視野に入れた開発を検討しています。

東京ディズニーランド

アドベンチャーランド周辺の大規模リニューアルを構想しています。構想イメージでは水辺に浮かぶボートや空中を通るレール乗り物が描かれています。

東京ディズニーシー

ポートディスカバリー周辺の大規模リニューアルを構想しています。「アクアトピア」を含む位置に巨大な建造物が設置される構想が示されています。

具体的な投資プロジェクト

シュガー・ラッシュアトラクション

開業予定: 2026年度以降 投資額: 295億円

トゥモローランドエリア内に映画「シュガー・ラッシュ」をテーマにした新アトラクションを建設予定。

スペース・マウンテン刷新

開業予定: 2027年 投資額: 705億円

スペース・マウンテンと周辺エリアの大規模刷新を行います。当初予算560億円から増額されています。

エリア刷新大規模開発

開始予定: 2029年以降

テーマパーク全体の用地を再編する大規模な開発を検討中です。

国内ゲストのファン層拡大

  • 幼少期からのファンづくり
  • 日常的なタッチポイント創出
  • 新規ゲストの獲得施策

海外ゲストの集客強化

  • エリア別の集客活動
  • 訪日リピーター市場の需要喚起
  • 成長エリアの取り込み

夏期の集客向上

  • スペシャルイベントやコンテンツの規模拡大
  • 散水コンテンツの展開
  • 暑さ対策の強化

価格設定の最適化

変動価格制の活用

繁忙期と閑散期で価格を変動させることで、需要を分散させ、施設の稼働率を最適化します。また、ゲスト体験の質を向上させるために、適切な入園者数のコントロールを目指します。

価格帯の見直し

市場の変化や提供価値に応じた価格帯の見直しを定期的に実施します。プレミアムな体験に対する適正な対価設定も検討しています。

新たな収益源の創出

ディズニー・プレミアアクセスの拡充

対象施設の追加や販売方法の多様化を通じて、プレミアムサービスの拡充を図ります。特別な体験や待ち時間短縮などの付加価値を提供します。

バケーションパッケージの拡充

東京ディズニーリゾート・バケーションパッケージの内容を拡充し、宿泊とパーク体験を組み合わせた総合的な価値の提供を強化します。

新たな収益モデルの確立

従来のテーマパーク事業のビジネスモデルの概念に捉われない新たな収益モデルを確立し、収益源の多様化を図ります。

ホテル事業

宿泊需要と稼働率

客室稼働率 0%

高水準の需要を維持

ホテル事業の戦略

  • 新規ディズニーホテルの開発検討

    訪日客の取り込み方針を踏まえ、さらなる宿泊施設の拡充を検討しています。

  • レベニューマネジメントの強化

    時期や曜日ごとの需要に応じた価格設定により、収入の最大化を図ります。

  • 顧客体験の向上

    テーマパークとの一体感を高め、滞在全体を通した顧客満足度の向上を目指します。

クルーズ事業

新たな収益の柱として、2028年度からディズニークルーズ事業を展開します。

クルーズ船の投資と計画

投資額の内訳

船体

0億円

予備費

0億円

総投資

0億円

クルーズ船就航

2028年度

通年稼働開始

2029年度(黒字化予定)

2隻目の就航検討

1隻目の成功後

収益性と事業特性

  • 就航数年後に営業利益率20%台後半を見込む
  • テーマパーク事業を上回る収益性を期待
  • ディズニーの魅力に満ちた体験を提供するファミリーエンターテイメントクルーズとして展開

ESG活動

オリエンタルランドは、ESGマテリアリティを再編し、「循環型リゾート」の取り組みを推進しています。

従業員の幸福

  • 2027年までに「エンゲージメント調査」総合スコアの向上
  • 対話の促進や働く安心感の確保
  • 従業員が働く喜びを感じる環境整備

子どものハピネス

  • 未来をひらく子どもたちの夢や心を育む活動
  • 「一般財団法人 オリエンタルランド子どものハピネス財団」を2024年7月に設立
  • 子どもたちの将来の選択肢を広げる支援活動

気候変動・自然災害への対応

  • 2050年温室効果ガス排出量ネットゼロを目指す
  • 再生可能エネルギーの調達・創出
  • 省エネ活動の推進

循環型社会への貢献

  • 投入資源量の低減
  • 分別強化によるリサイクル率向上
  • 廃棄物削減の取り組み

CVC活動

コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の拡大

  • 投資資金枠を30億円から130億円に増額
  • これまでの投資数は19社(1社あたり最大23.5億円)
  • 「リアルでのオペレーション」が活きる領域を中心に投資
  • 既存事業の課題解決(環境対応や省人化など)にも貢献

人事方針と財務方針

価値創造に繋がる人材力の向上と確保

人材の成長基盤

多様な業務のマネジメント経験を通じた人材育成を行い、組織全体の成長を促進します。

組織力

エンゲージメント向上に向けた課題の見える化と組織ごとの自律的改善を推進します。

働く安心感

職場環境の改善、処遇改善、多様な働き方の推進により、従業員の安心感を高めます。

最適資本構成の追求

  • 規律ある財務レバレッジの活用

    自己資本比率は現在の格付けレーティングを維持できる水準を下限とします。

  • 資本コストの低減

    既存事業にクルーズ事業を加えることで安定的な収益拡大を実現します。

  • 株主還元の強化

    安定配当の継続、自己株式の取得、配当性向の向上(2035年までに30%の水準)を目指します。

キャッシュ・アロケーション(2025年度~2029年度)

成長投資に優先的に配分しながら、株主還元や債務返済にもバランス良く配分していきます。

結論

オリエンタルランドの「2035長期経営戦略」は、テーマパーク事業、ホテル事業、そして新規のクルーズ事業を柱に、持続的な成長と企業価値の向上を目指すものです。

特にテーマパーク事業では、エリア刷新などの大規模開発を視野に入れた大胆な投資計画が示されており、東京ディズニーリゾートの更なる進化が期待されます。

また、ESG活動やCVC活動を通じた社会的価値の創出に力を入れるとともに、人材育成や財務戦略も強化することで、「あなたと社会に、もっとハピネスを。」という理念の実現を目指しています。

この長期経営戦略は、少子高齢化による国内市場の縮小や人件費・建設工事費などのコストインフレといった課題に対応しながら、オリエンタルランドグループの持続的な成長を牽引するものとなるでしょう。